大原孝治は大企業でない大企業を目指す
大原孝治がドン・キホーテホールディングスを率いるようになっても、依然として同社の快進撃が止まりません。インターネットでのオンライン販売にも着手した他、GMSなどの業態にも進出し、ドン・キホーテの店舗もその数を増やし続けています。こうした店舗拡大の裏には、大原孝治のしたたかな戦略があります。
ドン・キホーテホールディングスでは本部の機能を可能な限り小さくすることによって、各店舗ごとの独自性が発揮できる体制作りを行っています。顧客最優先主義を掲げており、出店エリアごとの顧客の属性を徹底的に観察したうえで、各店舗が求められている需要を店舗づくりに活用します。本来であれば大量仕入れ大量販売という店舗網の強みを生かすことが大手小売りチェーンとしての正攻法ですが、大原孝治はそのような戦略を取らずに独立した店舗ごとの判断を最大限に尊重しています。ドン・キホーテホールディングスでは利益率の高いプライベートブランド商品の開発を行っていますが、これを店舗に押し付けるようなことをしません。もし店舗の担当者が不要であると判断した場合には、利益率の高さを無視して仕入れを断ることが出来ます。こうした店舗の担当者への権限の委譲を徹底的に進めたことで、日本全国に展開するドン・キホーテの店舗は、看板のデザインが同じであっても全く異なる店舗づくりを行い、その店舗に足を運ぶ顧客の属性にあった商品やサービスを提供することが可能なのです。